引っ越しによる地殻変動で、昔のものと最近のものがごっちゃになってしまった。
そこで出てきたこの本「天からふってきたお金」。
フクモ陶器が小学生だったときに、タイトルと和田誠の挿絵に魅かれ図書室で借りたんだけど、こいつがまあ面白いのなんのって。誰からも注目されず(たぶん)、ひっそりとホコリをかぶっていたのに。日の当たらないところにこそ、宝はあるのだ、、、!(それを、大人になってから買った。図書室から盗んだわけではないよ!)
この本は、トルコの人なら誰でも知っているらしい「ナスレッディン•ホジャ物語」の日本語訳版。
ホジャというのんきでとんち好きなお坊さんのお話で、日本で言うなら一休さんのとんち話のような感じであろう。
翻訳からも、挿絵からも、ホジャのくだらなくて適当な感じがにじみ出る。三位一体の芸術。まさに、宝のような本である。
久々に読んだフクモ陶器はエキサイトしたので、ここでそれぞれの話の感想を。
①「四本の矢」 おもしろ度★
この話はたいして面白くない。なぜこれをトップバッターに据えたのか、はなはだ疑問である。これだけ読んで読むのをやめてしまう読者も多いのではないだろうか。ホジャのちゃっかり具合の紹介…的な意味合いなのかなあ。
②「三つの金曜日」 おもしろ度★★★★★
この話は最高。花の二区をまかされるのも納得の完成度。だめな大人•ホジャに小学生のフクモ陶器はシビれた。大人になったフクモ陶器もシビれた。
③「ごちそうを食べた上着」 おもしろ度★★★
ちょっと説教くさいところが気になりますが、安定の出来。挿絵がいい。ホジャのぼろい服の描写ったらない。あと、トルコの御馳走って美味しそう。
④「月夜に弓をいる」おもしろ度★★★
後に出てくる話にも共通するホジャのスーパーポジティブ具合、そして読者の心の時空を歪ませるレトリック。
大人になってから読むと、ちょっとこの人ヤバいかも、、、というスリルも含めて楽しめる話。
⑤「スモモのおみやげ」おもしろ度★★★★★☆
小学生のフクモ陶器が一番好きだった話。一番の真骨頂は、イチジクを投げつけられる時の音の描写。「ピシャーン!」「パチャーン!」「ペチャーン!」「クチャーン!」熟れすぎたイチジクの香りが立ち上ってくるような見事な表現。
⑥「ホジャとクマ」おもしろ度★★
ちょっとクマがかわいそう。和田誠のせいか?トルコにもクマっているんだなあ。
⑦「ホジャ、ロバを売りにいく」おもしろ度★★★★
ふたたび読者の心の時空を歪ませ、やっぱこいつちょっとやべえな、、、と思わせるサイコスリラー的な一話。
⑧「ロバのたまご」おもしろ度★★★
やっぱこいつら、夫婦そろってやばかった、、、という一話。
⑨「ホジャのピクニック」おもしろ度★★★
ホジャがほんとにだまされているのなら、大人として心配だし、
もし分かってやっているとしたら腹黒すぎる気もするし、どっちにしろもやもやする。
クルクルして焼く羊がおいしそう。
⑩「ホジャとカボチャ」おもしろ度★★★
おなじみ、スーパーポジティブ•ホジャ。
⑪「一本足のアヒル」おもしろ度★★★★
ホジャのとんちにうなる。正統派の一話。
⑫「三つの質問」おもしろ度★★
そういえば、ホジャってお坊さんだった。
⑬「名裁判官ホジャ」おもしろ度★★★★
裁判するまでもなく、みなりのきれいな小男の主張は誰がどう見ても無理がある。
⑭「八本の足」おもしろ度★★★
そんなはずはない。挿絵からして明白だ。
⑮「天からふってきたお金」おもしろ度★★★★
ホジャがなんのために一千クルシュを必要としていたのかが気になるところだが、この話は本のタイトルにもなるのもうなづける名作。詐欺ってこういう賢い奴が考えるんだな!でもホジャは良い奴だからお金は返したよ。
⑯「スープのスープ」おもしろ度★★★★
スープのスープっていう考え方が、フクモ的。でも小学生のときに読んだのだから、こっちが先なのか。子供のころに読んだ本、影響力、大!世のお父さんお母さん、気をつけて!
ふう、結構軽い気持ちで書き始めてしまったら、意外とたくさん話があって長くなってしまった。
途中で少々面倒くさくなってしまったが、なんとかやり終えた。
みなさんも興味があったら、ぜひ読んでみてね!フクモ陶器はいつでもお貸ししますよ。