「うつわ−食器の文化」
- フクモ陶器
- 2018年5月28日
- 読了時間: 3分
フクモ陶器が通ってる竹細工教室で、おもしろそうな映画の上映会があるとのことで行ってきたよ。
タイトルは
「うつわ−食器の文化」1975年/41分/近畿日本ツーリスト日本観光文化研究所企画/民族文化映像研究所製作
なんと宮本常一監修!
中川美帆さん(郷土映像ラボラトリー)が、かつてご自身が働いていらっしゃった民映研の120本余に及ぶ映画作品を、月に一回上映しているとのこと。毎月おもしろそうだなあ、、、と思っていたのだが、ついに見に行くことができた。
上映前に、ビワ茶が振る舞われる。「ビワ茶って、ほうじ茶みたいな味なんだなあ…」と思っていたら、
「間違えました、それはほうじ茶です」と。でもあとでビワ茶も出してくれた。どちらも美味しい。

結論から言うと、この映画、非常に、とっても、ものすごーくよかった。見に行ってよかった〜
まず冒頭の、与那国島のクバ(棕櫚のような植物)の葉で作った鍋(!)、そして取り鉢、レンゲ(のようなもの)に目を奪われる。葉が火にかけられるなんて!買い物かごのような形をしており、買い物→調理→食事までがなめらかに進行できる!
アイヌの木の皮で作られる椀、青森で作られるヒバのわっぱ(ヒバを裂く手つきの滑らかさったら)などの紹介、背広姿のおじさんたちが当時の製法で作られた縄文土器で煮炊きをしてみるなど、目を見張る映像が続く。(こちらの映像については、上映後の懇談会でブーイング続出「あさり沢山入れすぎ」「蓋しろよ」等)
そういえば縄文土器って蓋が無いけど、どうしてたんでしょうね。そもそも蓋がしづらい形状だし。
もしや、葉か?!葉なのか!?
続いて、刳りものの椀を作る映像。どこの村だったか忘れてしまったが、絶えてしまった刳りもの作りを、村人たちが30年ぶりに再現。なんとこの撮影でおばあさんが足の裏を怪我してしまったと。久しぶりすぎて。たしかにばあさん激しい動きだった。
人力木轆轤が圧巻。
漆についても詳しく。漆掻きから指で漆を塗りたくる衝撃映像まで。かぶいてる。でもかぶれない。
伊勢神宮の神饌用の土器作りも。これって確か、一回きりしか使わないんだったような。だから毎日せっせとおばあさんたちが作ってる。
唐津の壷作り。叩きの技法に瞠目。こんな作り方があったとは。逆にね。逆に。
とにかくひとつひとつが忘れがたい映像。見られてよかった。

そんで映画のあと、なんとおにぎりとお味噌汁が振る舞われた!!なんというサービス!
映画に鍋料理がいろいろ出てくるからお腹が空いていた!
非常に美味!(写真左下はビワ茶です)ありがたや。
食べながら、中川さんのお話を伺う。
昔の自主制作映画の話が興味深かった。フィルムが高価だった時代、あちこちから余った短いフィルム(3秒とかの)をもらってきて、それらを繋いで繋いで、一本の映画を作っていたという。今の時代に、それほど貴重に大事に使われるものってあるのだろうか?
映画に出てきたうつわ達も、あれだけ手間がかかっていて、きっとずいぶん大事に長い間使われてきたのであろう。
しかしその反面、冒頭に出てきたクバの葉鍋や、伊勢神宮の神饌土器など、一回限りの使い捨てうつわも存在する。
そのバランス感覚のおもしろさ。人間の、時間に対する考え方の妙を感じる。もったいない精神と、常若の精神は、決して矛盾しないのだ、、、!
「DVDは発売は無いんですか?」と喉まで出掛かったが(たぶん無いだろう)、これも一回限りと思うから忘れられぬ映像となるのだろうね。おそらく。
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